r-06-02 部屋別のリフォーム|リビング ひと昔前の日本家屋では、人が寛ぐところといえば茶の間でした。私が育った家でも4.5畳の部屋に掘りごたつがあり、そこに家族5人が集まってTVを見たり食事をしたりしていました。食事をする場所が日常的な居間だったのですが、洋風の住まい方が主流なったここ20~30年の間に、リビングという、食事をする場所とは分けられた部屋(スペース)が多くなりました。しかし、もともと食事をする場所で寛ぐ住まい方に慣れている我々に、食事と切り離されたスペースを使う必要性やノウハウがあるわけでもなく、雑誌やカタログを真似てソファーを置いてみても、誰も座らないなんてことが起ってしまいます。 何故こんなことになってしまうかというと、もともと我々の意識の中での「居間」と「茶の間」は、ハレとケという分け方をしていたことが根にあると思われます。ハレとしての「居間」には来客用としての役割があり、玄関の脇に一部屋、お客さん用に日常は使わない部屋を設けたり、現在ではダイニングの横に日本間を一部屋設けたりし、このように居間を来客者目的として捉えた使い方はできる(知っている)のです。しかし、この居間を日常的に使うとなると、とたんに使えなくなるのは、居間をケとして捉えるのに慣れていない、ケとしての使い方をつくってきていないためではないでしょうか。 前置きが長くなりましたが、人に見られることを意識してしすぎてしまうと、居間は他人のための部屋となり、日常的に寛げるスペースにはなりませんので、居間というスペースの価値観をハレからケに変えることが鍵です。そうすれば、ご自分達の生活から自ずと必要なものが見えてくるはずです。 ダイニングの横に和室などがあれば、ダイニングの延長として一体感を持たせたり、子供が遊べたり、ごろごろできるように畳やカーペットを敷くなど広くしておくいて、必要なら床に座れて使える低くて大きなテーブルを置いて、冬はコタツにしたり、等。リビングスペースとつながっているダイニングスペースを「食事をとるところ」と定義すると、昔で言えば茶の間ですが、ダイニングテーブルで茶の間でしていたような「食事の前後にゴロゴロする」はできません。ですので、「食事の前後にゴロゴロする」機能をリビングスペースに持たせると考えれば、我々日本人の生活習慣に合った茶の間として捉えられるようになると思います。