n-05 ソーラーシステム ソーラーシステムというと、太陽熱を利用した暖房設備と、太陽光を電気に変換する太陽電池に代表されがちですが、例えば南側の大きな開口部から入る日射しも、立派な太陽光利用=ソーラーシステムです。システムというと、機械的な装置をイメージしてしまいますが、システムを「工夫」と訳してみると、ソーラーシステムという考えを理解しやすいと思います。 ソーラーシステムは、「パッシブ」と「アクティブ」という考え方に分かれます。前者は機械などに頼らず、建築的な工夫で太陽エネルギーを利用することから受動的方法、後者は機械を積極的に使用する能動的方法です。 自然エネルギーを利用して、住居環境を少しでも快適なものとする発想は、パッシブとアクティブの両方に共通のものですが、自分たちのライフスタイルや、家の建つ環境に合ったものでなければ、どんなにいいシステムでも上手く機能しません。費用からだけではなく、環境問題も含めて、自分たちがどんな生活をしたいのから、考え始めてください。 パッシブソーラー ソーラーシステムと聞くと、何か特別な技術と思いがちですが、日射しを室内に入れるだけでも、それが意図的であればれっきとした設備です。大きな南側の窓からの日射しは、典型的なパッシブソーラーシステムなのです。 開口部の位置を高くして、日射しを室内の奥まで入れたり、その熱を室内にためて夜間に逃がさない工夫をしたり、庇を大きく出して雨や夏の日射しから家を守ったり、開口部の外によしずやすだれを掛けて日射しを調整したり、風の通る庭に水打ちして夏に涼しい風をつくったり、等々。このように太陽熱を蓄熱したり防いだり、風の通り道など意図的につくったり、ちょっとした建築的な工夫で、室内環境をコントロールしようとするのがパッシブソーラーです。 昔の日本の家屋は、気温と湿度の高い夏を、いかに涼しく過ごすかに家づくりのポイントが置かれていました。なので、冬の寒さには弱いという印象がありますが、暑さと湿度を逃がす隙間が、暖をとるため室内で焚く囲炉裏や、かまどから出る有害な煙りを、屋外に出すために役立っていました。またその煙りが、柱や梁、そして屋根を燻すことで、建物の腐りや虫の被害から家を守るなど、一年を通して考えられていたシステムだったのです。太陽熱や太陽光を利用することとだけでなく、「自然を利用する」という見方からすれば、これらもれっきとしたパッシブソーラーなのです。 アクティブソーラー 機械に頼らないパッシブに対して、なんらかの機械設備を利用し、積極的に太陽エネルギーを利用するのが、アクティブソーラーです。太陽熱を集める設備を使用して、お湯や温風をつくり、それを暖房や生活水に利用するものや、太陽電池(ソーラーセル)によって、太陽光を電気に変換するものなどがその代表です。 アクティブソーラーの代表格といえば、朝日ソーラーなどの、屋根の上に設置する、ガラスで保護された管でお湯をつくり、お風呂や家事に利用するというものが多かったのですが、最近では、太陽電池でつくった電気を電気会社に売れる環境が整い、また補助金の支給なども手伝って、太陽光発電が主流となっています。ただし、アクティブソーラーは設備設置に費用がかかり、とくに太陽光発電の場合、つくられるエネルギーが設置費用を回収するには、20年はかかると言われ、簡単に決断できないのが実情ですが、何かあったときに自家発電できるということは、費用回収以上に価値があることと、これからも普及していくシステムかと思われます。